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ドラッグキューキュー通信~2~

皆さんこんにちは

ドラッグキューキューの更新担当の中西です

 

 

さて今回は

~冬の徹底乾燥に勝つ~

 

気温と湿度の低下、暖房による乾燥、汗・皮脂分泌の減少が重なり、冬は年間で最もバリア機能が脆弱化します。乾燥小じわ、粉ふき、手荒れ、唇の亀裂、かゆみを「季節だから」と放置すると悪化して治療期間が長引くことも。ここでは、薬局でのカウンセリングを前提に、部位別ケア、入浴・加湿・衣服の生活設計、外用剤の選び方、仕事・家事と両立する運用術を整理します。

1. 顔:朝“守る”、夜“修復する”

  • 朝:保湿は軽い順に重ね、最後に高保護クリーム。寒風・摩擦から守る意味で、日焼け止めや下地も「物理バリア」として効く。

  • 夜:入浴直後の“3分以内”保湿が鉄則。化粧水→高保湿美容液(セラミド・ナイアシンアミド)→乳液→クリーム→必要部位にバーム。睡眠中の経皮水分喪失(TEWL)を抑える。

  • 角質ケア:冬は回数を落とす。AHA等の角質ケアは低頻度・低濃度で、赤みが出たら中止。

2. 手:手洗い・消毒とバリアの両立

  • 手指衛生:泡石けんを十分に泡立て、30秒以内で洗い、完全乾燥後にアルコール消毒。濡れた直後のアルコールは刺激が強い。

  • ハンドクリームの分類:
    1)保湿主体(グリセリン・ヒアルロン酸)
    2)エモリエント主体(ワセリン・シアバター)
    3)修復サポート(ヘパリン類似物質、ビタミンE)
    4)ひび割れ・あかぎれ局所(尿素高濃度は角化部へ。亀裂部にはワセリン+保護テープで物理的安静)

  • タイミング:手洗い後、就寝前は“厚塗り+綿手袋”。水仕事は綿手袋+使い捨て手袋の二重装着で湿潤を逃さない。

3. 唇:粘膜に近くバリアが薄い

  • 成分:ワセリン、スクワラン、セラミドをベースに、清涼感成分(メントール等)がしみるなら回避。

  • 運用:日中は薄塗りを高頻度、夜は厚塗りパック。反射的な舐め戻しをやめるため、塗る→ティッシュオフ→再塗りで密着を上げる。

4. ボディ:入浴設計と“即時保湿”

  • 入浴:熱すぎる湯(41℃以上)は脱脂・痒みの誘発。浸漬は10〜15分程度、発汗目的で長湯するなら保湿を前提に計画的に。

  • 洗浄:ナイロンタオルで擦らず、手洗いまたは綿タオルに切り替え。乾燥部位は泡を置くだけで十分。

  • 保湿:タオルオフ後3分以内に、腕・脚・体幹へローション→ミルク→クリームの順で“層”。背中はスプレーやロングハンドルを活用。かゆみには非ステロイド抗炎症外用を併用し、掻破を予防。

5. 加湿・衣服・寝具

  • 室内湿度:40〜60%が目安。就寝時は枕元の加湿、過加湿による結露・カビに注意。湿度計で可視化する。

  • 衣服:肌側は綿・シルクなど摩擦の少ない素材を。ウール直当ては痒みを誘発しやすい。首元・手首・足首の“3首”を温めると末梢循環が改善。

  • 寝具:羽毛布団や毛布の順番は、保温と透湿のバランスを取り、寝汗の蒸れを軽減。パジャマは毎日交換が理想。

6. 外用剤・OTCの使い分け

  • 乾燥性皮膚炎:ヘパリン類似物質、尿素、ワセリン、セラミド配合保湿剤を部位に応じて。顔や亀裂部は尿素高濃度を避ける。

  • かゆみ:抗ヒスタミン外用や鎮痒成分(ジフェンヒドラミン、リドカイン)で軽度は対処。強い炎症はステロイド外用が必要なことがあり、自己判断の長期使用は避けて受診。

  • 角化の厚い踵・肘:高濃度尿素で角質を柔らげ、日中は擦過刺激を避ける。痛みがある亀裂には、まずワセリンで保護し物理的安静を。

7. 生活と仕事の中で続けるための工夫

  • デスクに小型ハンドクリーム、洗面台に家族用ポンプ、寝室に大容量ボディミルクを置き、視認性を上げる。

  • タイムスケジュールに「保湿」を組み込む(起床後・手洗い後・就寝前)。

  • 家族・職場での“声かけ”をルール化し、手荒れ・掻痒の早期発見につなげる。

まとめ

冬の肌は“丁寧に保つ”ことが最大の治療。部位ごとに洗浄と保湿の強度を変え、入浴・加湿・衣服まで含めた生活設計に落とし込むことで、かゆみの悪循環を断ち切れます。症状が改善しない、悪化する、夜眠れないほど痒い、浸出液や亀裂が深い場合は医療機関へ。薬局では既往歴や併用薬の確認を行い、適切な外用・内服を選んでください。