皆さんこんにちは
ドラッグキューキューの更新担当の中西です
さて今回は
~“ゆらぎ肌”対策~
夏の強い紫外線、汗、クーラーによる乾燥を経た肌は、秋口に一気に“ゆらぎ”やすくなります。気温・湿度が低下し、皮脂と水分のバランスが崩れることで、赤み・かゆみ・ザラつき・小じわ・化粧ノリの悪さが目立つ季節です。薬局では、化粧品とOTC医薬品、生活アドバイスを横断して「肌のバリア機能を立て直す」提案ができます。本稿では、秋のスキンケアを洗浄・保湿・光対策・花粉対策・インナーケアの5本柱で再設計し、来る冬の本格乾燥に備える実践手順をまとめます。
1. 洗浄の見直し:落としすぎをやめる
秋の皮脂分泌は夏より大幅に減ります。夏と同じ強脱脂の洗顔・クレンジングを続けると、角層内の天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質(セラミド)まで奪い、バリア破綻の引き金に。
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クレンジングはメイクの強さに合わせて選ぶ。ポイントメイクは専用リムーバーで局所オフし、顔全体は低刺激のミルク・クリームタイプや、ウォータープルーフでなければジェル・リキッドの低脱脂タイプに切り替える。
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洗顔は朝夕ともに「こすらない」「泡で包む」「30秒以内」を徹底。つっぱり感があるなら、朝はぬるま湯のみでも可。
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身体は汚れが多い部位(脇・足・デリケートゾーン)を優先し、乾燥部位は泡を“置く”だけにするなど部位洗浄を導入。合成界面活性剤は配合バランスで刺激が変わるため、低刺激処方(アミノ酸系、ベタイン系)を選びやすい。
2. 保湿の再構築:3層(補水・抱水・エモリエント)で埋める
秋は角層水分が落ちるうえ、外気の相対湿度も低下するため、化粧水だけでは蒸発に追いつきません。
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補水:化粧水で角層に水を届ける。肌が敏感なら、アルコール・香料が少ないものを優先。
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抱水:グリセリン、ヒアルロン酸、PCA-Naなどの保湿剤で“水をつかまえる”。とろみは好みでよいが、濃度と処方の相性が重要。
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エモリエント:セラミド、シアバター、スクワラン、ワセリンなどで“ふたをする”。秋は特にセラミド(合成・擬似・天然由来を問わず)配合の乳液・クリームが合理的。
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順序:化粧水→美容液(セラミド/ビタミンB群/ナイアシンアミド)→乳液→クリームの標準。夜だけクリームを厚めに。朝はメイク崩れを考慮し乳液止めでも可。
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局所ケア:口周り・目元は皮脂腺が少ないため先回りで重ねづけ。リップは就寝前に高保護系(ワセリン系)を厚く。
3. 紫外線・可視光・近赤外線:秋も“ゼロ”ではない
秋は紫外線B波(UVB)が落ちてもA波(UVA)は届き続け、真皮の弾性線維に影響。日焼け止めは「季節の弱いSPF」ではなく、生活行動で決めます。
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屋内中心:SPF20〜30・PA++程度の乳液系、敏感肌用を日中も薄く更新。
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屋外活動:SPF30〜50・PA+++以上、擦れ・汗対策の耐水タイプ。2〜3時間おきの塗り直しが理想。
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ブルーライト・近赤外を懸念する場合、酸化チタン/酸化亜鉛ベースの微粒子散乱タイプや、抗酸化成分配合の下地を活用。
4. 秋花粉・大気異物:物理バリアと洗浄で減らす
ブタクサ・ヨモギなどの秋花粉、黄砂やPM2.5は肌の炎症を誘発します。
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外出前:バリアクリーム(ワセリン微量含有の皮膜系)を頬・鼻周りに薄く。ファンデーションやパウダーも静電気で花粉付着を抑制。
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帰宅後:まず顔と手を洗う。髪に付着した花粉も入浴時に落とす。洗濯物の室内干しや、上着を玄関で払う習慣づけも有効。
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かゆみ・赤み:非ステロイド抗炎症外用(グリチルリチン酸、ジフェンヒドラミン外用など)で軽度は対処。広範囲・強い炎症・滲出があれば受診。
5. インナーケア:乾燥対策の“体内側”
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水分:カフェイン過多は利尿を助長。白湯・ミネラルウォーター・麦茶をこまめに。
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脂肪酸:青魚、ナッツ、亜麻仁などのn-3系は皮膚バリアを支える。
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サプリは万能ではない。ビタミンD・C・亜鉛は不足補充にとどめ、上限量に注意。薬との相互作用(抗凝固薬×ビタミンKなど)も薬剤師へ要相談。
6. OTCと医療の使い分け
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乾燥性湿疹、かゆみ:ヘパリン類似物質外用や尿素濃度の調整(顔は低濃度、踵は高濃度)で対応可。強い炎症・広範囲・長期化は医療用ステロイド含む診療領域。
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ニキビ:毛穴詰まり優位なら角質ケア(サリチル酸マイルド、アゼライン酸配合化粧品)。膿疱・結節は皮膚科へ。
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アレルギー:くしゃみ・鼻水中心は抗ヒスタミン内服、眠気の少ない第二世代を優先。授乳・持病のある方は必ず相談。
まとめ
秋は“整える季節”。落としすぎない洗浄、層で積む保湿、秋でも続く光対策、花粉・大気異物の遮断、内側からの補助を組み合わせ、冬本番に肌を連れていきましょう。症状の長期化・悪化、強いかゆみや痛み、滲出がある場合は速やかに受診し、薬局では既往歴・併用薬・アレルギー歴の確認を徹底してください。